フィロキセラとの闘い
フィロキセラは日本名でブドウネアブラムシと言います。
北米原産の1mm程の非常に小さい昆虫で、ブドウの苗木に幼虫が付着し、ヨーロッパに伝播しました。
フィロキセラの生息地である、
北米のブドウ品種(ヴィティス ラブルスカ)は
フィロキセラへの耐性を持っており被害がありませんでしたが、
ヨーロッパ・中東品種(ヴィティス ヴィニフェラ)はフィロキセラが根や葉に寄生し、ブドウを枯死させました。
フランスで1863年に発見されてから、このフィロキセラによりフランスのワイン生産量の2/3を失うという、大打撃を受けました。
カビ系の病害でベト病やウドンコ病などがありますが、薬剤の散布により対策することができました。
しかし、フィロキセラはブドウの根に寄生していたために薬剤を散布することができず、被害は世界中へ広がっていきました。
フィロキセラはフランスで栽培されていた、カベルネ ソーヴィニヨンやピノ ノワールなどのワイン用のヴィニフェラ種のブドウに寄生し被害を出していましたが、アメリカ原産ブドウには寄生しないことがわかりました。
駆除が出来ないフィロキセラに対して、耐性のあるアメリカ系の品種を台木にしてヴィニフェラ種を接ぎ木するという対策を実施。
これにより、長い間生産者たちを悩ませたフィロキセラ被害を食い止めることに成功しました。
※アメリカ原産の3大台木原種
・ヴィティス リパリア
・ヴィティス ルペストリス
・ヴィティス ベルランディエリ
アルゼンチンやオーストラリアなどの一部の地域ではフィロキセラの被害がない産地もあります。
チリでは全域でフィロキセラの被害を受けておらず、接ぎ木せずに自根のブドウも使われています。
自根と接ぎ木では味わいが変わると言われています。
どちらがよかったのかはわかりませんが、計り知れない苦労の末に、ワイン造りが受け継がれてきました。
先人たちへ感謝をしながら、ワインを飲んでいきたいですね♪